サニタリー配管とは?様々な種類や特徴、注意点を解説!

衛生管理が厳しく求められる食品・医薬品・化粧品・化学業界では、製造ラインの安全性を確保するために、サニタリー配管の適切な設計と施工が不可欠 です。サニタリー配管は、一般的な産業用配管とは異なり、異物混入や微生物の繁殖を防ぐための特殊な構造 を持ち、CIP(定置洗浄)やSIP(定置殺菌)といった洗浄システムに対応しています。
しかし、「サニタリー配管にはどのような種類があるのか?」「材質の選定はどのようにすればいいのか?」「施工時の注意点は?」 など、導入や改修を検討する際には多くの疑問が生じるでしょう。適切な配管を選定し、適正な施工を行うことで、流体の品質を維持しながら、安全かつ効率的な生産ラインを構築することが可能 となります。
本記事では、サニタリー配管の種類や特徴から業界規格、材質の選び方、設計・施工のポイント について詳しく紹介していきます。
サニタリー配管とは?

サニタリー配管とは、食品・医薬品・化粧品・精密化学業界などで使用される、高い衛生基準を満たした特殊な配管システム のことを指します。これらの業界では、製品の品質や安全性を維持するために、製造過程での 異物混入や微生物の繁殖を徹底的に防ぐ 必要があります。そのため、サニタリー配管には 内部の清掃性や耐食性が求められ、設計や施工の段階から厳しい基準に適合することが不可欠 です。
一般的な配管と比較して、サニタリー配管は より精密な加工技術が求められ、接合部や内面仕上げにも高度な技術が必要 となります。たとえば、食品や医薬品が直接触れる部分に細かな傷や凹凸があると、そこに細菌や汚れが付着しやすくなり、衛生リスクが高まります。そのため、サニタリー配管では バフ研磨や電解研磨といった表面処理を施し、極めて滑らかな仕上げにする ことが一般的です。
また、配管の設計においては、洗浄のしやすさや分解の容易さも重要なポイント となります。食品や医薬品の製造設備では、定期的に洗浄や殺菌を行うため、CIP(定置洗浄)やSIP(定置殺菌)といった洗浄システムに適した構造を採用する 必要があります。さらに、使用する材質についても慎重に選定する必要があり、特に 高い耐食性と耐久性を持つステンレス鋼(SUS304、SUS316Lなど)や、化学的に安定したフッ素樹脂が広く用いられています。
このように、サニタリー配管は、高度な衛生管理が求められる分野で製品の安全性を維持するために欠かせない設備の一部であり、通常の産業用配管とは大きく異なる設計思想のもとで製造・施工されています。
一般的な配管との違い
サニタリー配管は、一般的な産業用配管とは異なり、衛生管理や耐久性の面で特有の要件を満たす必要があります。そのため、以下の点で大きな違いがあります。
一般的な配管 | サニタリー配管 | |
主な使用用途 | 石油・化学・工場設備 | 食品・医薬品・化粧品 |
材質 | 鉄・銅・PVCなど | ステンレス(SUS304, SUS316Lなど)、フッ素樹脂 |
内面仕上げ | 特に指定なし | 滑らかな表面仕上げ(バフ研磨・電解研磨) |
清掃性 | 汚れや錆が発生しやすい | CIP(定置洗浄)対応で清掃しやすい |
接続方法 | 溶接、フランジ接続が一般的 | クランプ式(分解洗浄が可能)または溶接 |
耐食性 | 錆びやすい材質も含む | 高耐食性のステンレス・樹脂を使用 |
サニタリー配管が求められる理由
サニタリー配管が食品・医薬品・化学業界で求められる最大の理由は、衛生的で安全な流体輸送を可能にし、製品の品質を確保すること です。これらの業界では、異物混入や微生物の繁殖を防ぎ、製品の安全性と安定供給を実現することが最優先されます。そのため、サニタリー配管には以下のような要件が求められます。
- 滑らかな内面仕上げで汚れや微生物の付着を防ぐ
一般的な配管では、内部に細かな凹凸や溶接痕が残ることがあり、そこに汚れや微生物が付着しやすくなります。食品・医薬品の製造において、微生物の繁殖や異物混入が発生すると、製品の品質低下や健康被害につながるリスクがある ため、これを防ぐ必要があります。
サニタリー配管では、バフ研磨や電解研磨などの特殊な表面処理 を施し、内面を鏡面に近い状態にすることで、微生物や異物が付着しにくくなっています。これにより、洗浄や殺菌の効果も向上し、長期間にわたって衛生的な状態を保つことができます。
- 清掃しやすい構造で、洗浄の効率を向上
食品・医薬品の製造では、配管内部に残った成分が次回の生産時に混入することを防ぐために、定期的な洗浄が必須となります。サニタリー配管は、CIP(定置洗浄:Clean-in-Place)やSIP(定置殺菌:Sterilization-in-Place)に対応できる設計 になっており、専用の洗浄剤や高温蒸気を流すことで、配管内部を効率的に洗浄・殺菌することが可能です。
また、分解が容易なクランプ式の接続を採用することで、配管の分解・洗浄・点検をスムーズに行える ようになっています。これにより、製造ラインのダウンタイムを短縮し、効率的な生産を実現できます。
- 耐食性・耐久性に優れた材質を使用し、長期間の安定運用を実現
食品や薬品には、酸性やアルカリ性の強い成分を含むものも多く、一般的な配管では腐食や劣化が進みやすくなります。特に、塩分を多く含む食品や、薬品に含まれる化学物質による影響を受けやすい配管では、耐食性の高いステンレス(SUS316Lなど)やフッ素樹脂 を使用することが一般的です。
これにより、配管の寿命が長くなり、頻繁な交換やメンテナンスの手間が軽減 されるため、長期的なコスト削減にもつながります。
- 異物混入や交差汚染のリスクを低減
サニタリー配管は、食品や医薬品などの製造現場において、異物混入や交差汚染を防ぐために設計されています。たとえば、継手やバルブの選定においても、デッドスペース(流体が滞留しやすい空間)を極力減らし、洗浄しやすい構造にする ことで、異物が残らないように工夫されています。
また、特定のアレルゲンを含む食品や、異なる成分の薬品を製造する際にも、徹底した洗浄が可能 であるため、交差汚染のリスクを最小限に抑えることができます。
- 安全基準や法規制を満たすための対応
食品衛生法やGMP(Good Manufacturing Practice)、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)などの法規制を遵守するため、サニタリー配管には厳しい基準が求められます。
また、国際的な規格(3-A、ISO、JIS、FDA など)にも適合した配管設計が求められるため、正しい材質選定や加工、施工のノウハウ が必要になります。これらの基準を満たすことで、製品の安全性が確保され、市場への信頼性も向上します。
サニタリー配管の特徴

サニタリー配管は、食品・医薬品・化粧品業界などで求められる高い衛生性・清掃性・耐久性 を備えた配管システムです。一般的な配管とは異なり、衛生管理や流体の品質維持が重要な場面 で使用されます。そのため、サニタリー配管には以下のような特徴があります。
高い衛生性と清掃性
サニタリー配管の最も重要な特徴の一つが、高い衛生性と清掃性です。食品や医薬品を製造する際、配管内に異物や微生物が残ってしまうと、品質の低下や安全性の問題を引き起こす可能性があります。そのため、サニタリー配管は以下のような工夫が施されています。
まず、配管の内面はバフ研磨や電解研磨を施し、表面を極めて滑らかに仕上げることで、異物が付着しにくくなっています。一般的な配管の内面はザラつきがあり、そこに食品残渣や微生物が蓄積するリスクがありますが、サニタリー配管では表面粗さ(Ra値)を0.8μm以下に抑えることで、これを防ぎます。
また、**CIP(定置洗浄:Clean-In-Place)やSIP(定置殺菌:Sterilization-In-Place)**といった洗浄・殺菌プロセスに対応している点も特徴です。CIPでは洗浄液を配管内に循環させ、汚れを除去し、SIPでは高温の蒸気を流すことで微生物を死滅させます。これにより、配管を分解せずに効率的な洗浄・滅菌が可能となり、生産ラインのダウンタイムを短縮しながら、衛生状態を維持することができます。
さらに、分解・組立が容易な設計もサニタリー配管の重要なポイントです。食品や医薬品の製造では、定期的な点検や洗浄が求められるため、簡単に分解できるクランプ式の接続方式がよく採用されます。この方式では、工具を使わずに素早く配管を取り外すことができ、清掃後の再組立もスムーズに行えます。
このように、サニタリー配管は、清掃しやすく異物が付着しにくい構造になっており、食品・医薬品の製造において高い衛生基準を維持することを可能にしています。
耐食性・耐久性に優れた材質を使用
サニタリー配管には、長期間の使用に耐え、腐食しにくい材質 が使用されます。食品や医薬品の製造では、酸性・アルカリ性の強い液体や高温の蒸気を扱うことがあるため、一般的な配管では腐食や劣化が発生しやすくなります。
材質 | 主な用途 | 特徴 |
SUS304(ステンレス鋼) | 一般的な食品・飲料製造 | 耐食性・加工性が高いが、塩分に弱い |
SUS316L(ステンレス鋼) | 医薬品・海産物加工 | モリブデンを含み、塩分や酸に強い |
PTFE(フッ素樹脂) | 化学薬品・高純度薬品 | 耐薬品性が非常に高い |
PFA(フッ素樹脂) | 高温流体・医薬品 | 耐熱性と耐薬品性に優れる |
SUS304とSUS316Lの違い
SUS304は一般的なステンレス素材ですが、塩分や酸に弱いというデメリットがあります。そのため、海産物加工や製薬など、強い腐食性のある環境ではSUS316L が使用されることが多く、長期的に高い耐久性を発揮します。
分解・組立が容易な接続方式
サニタリー配管は、メンテナンス性を考慮して、簡単に分解・組立できる設計 になっています。特に、食品・医薬品業界では頻繁な洗浄や点検が求められる ため、以下のような接続方式が採用されています。
接続方式 | 特徴 | 用途 |
クランプ式 | 工具なしで分解・組立が可能 | 食品・医薬品のメンテナンス向け |
溶接式 | 継ぎ目がなく異物混入リスクが低い | 清掃頻度が低いライン向け |
フランジ式 | 強度が高く、大口径に対応 | 大規模な工場設備向け |
クランプ式接続のメリット
- 工具不要で簡単に分解できるため、短時間で洗浄可能
- ガスケットを交換することで密閉性を維持できる
- 分解せずにCIP/SIPが可能なため、効率的な洗浄が実現
バクテリアの繁殖を防ぐ設計
食品や医薬品の製造において、配管内部に微生物が繁殖することは大きな問題となります。特に、乳製品や発酵食品、バイオ医薬品などの生産ラインでは、微生物の増殖を防ぐための厳格な管理が必要です。そのため、サニタリー配管は微生物の繁殖を最小限に抑える設計になっています。
一つのポイントは、デッドスペース(流体が滞留しやすい箇所)を極力排除することです。一般的な配管では、継手やバルブの内部に流体が滞留することがあり、これが細菌やカビの温床になることがあります。サニタリー配管では、流体の流れをスムーズにし、滞留しないようにするため、配管の曲がり部分や接続部に特殊な形状を採用しています。例えば、T字型の配管ではなく、Y字型や緩やかなカーブを持たせることで、流体が滞留しにくい構造になっています。
また、配管の傾斜を適切に設計することも重要です。水や液体の残留を防ぐため、配管には1〜2%の勾配をつけて設置するのが一般的です。これにより、洗浄後の水分が完全に排出され、湿気による微生物の繁殖を抑えることができます。
さらに、バルブや継手の選定も重要な要素です。サニタリー配管では、内部に流体が滞留しにくいダイヤフラムバルブやボールバルブが多く採用されています。これらのバルブは、流体の通り道をできるだけシンプルにし、清掃しやすい設計になっています。特に、ダイヤフラムバルブは内部に死角が少なく、CIPやSIPによる洗浄がしやすいというメリットがあります。
適切なガスケット(シール材)の使用もバクテリアの繁殖を防ぐ重要なポイントです。通常の配管では、接続部の隙間に細菌が入り込み、繁殖するリスクがありますが、サニタリー配管では高品質なシリコンやPTFE(フッ素樹脂)製のガスケットを使用することで、完全な密閉性を確保し、微生物の侵入を防いでいます。
このように、サニタリー配管ではデッドスペースの排除、適切な傾斜設計、衛生的なバルブ・継手の使用、シール材の工夫など、様々な対策が施されており、微生物の繁殖を防ぎながら衛生的な生産環境を維持することが可能となっています。
温度・圧力への対応
サニタリー配管は、食品・医薬品・化学業界の製造工程で使用されるため、さまざまな温度・圧力の環境に適応できる必要があります。 高温・低温、または高圧・減圧といった厳しい条件下でも、安全に使用できるように設計されていることが重要です。
- 高温環境への対応
高温環境で使用される主なケース:
- SIP(定置殺菌):121℃以上の蒸気を配管内に通し、殺菌・消毒を行う。
- 高温流体の搬送:お湯、蒸気、加熱された食品素材などが流れる。
- 熱湯洗浄:80℃以上の熱湯を使用し、配管内部を洗浄。
このような用途では、耐熱性に優れた以下の材質が用いられます。
材質 | 耐熱温度 | 用途 |
SUS304(ステンレス鋼) | 約400℃ | 一般的な食品・飲料ライン、熱湯洗浄対応 |
SUS316L(ステンレス鋼) | 約400℃ | 高温・酸性環境向け、SIP対応 |
PFA(フッ素樹脂) | 約260℃ | 医薬品・化学業界の高温ライン |
PTFE(フッ素樹脂) | 約260℃ | 高温流体の搬送、耐薬品性も兼備 |
特に、SUS316Lは耐食性にも優れており、SIPなどの高温殺菌を繰り返す環境でも腐食しにくい ため、医薬品業界や高温食品加工ラインでよく採用されます。
- 低温環境への対応
一方で、冷却水の循環や低温流体の搬送が必要な場面 では、配管の耐寒性が求められます。例えば、冷却水ラインや冷蔵食品の製造過程では、0℃以下の環境でも配管の性能が維持される必要があります。
低温環境で使用される主なケース:
- 冷却水ライン:食品・医薬品の温度管理のための冷却水を搬送。
- 低温食品の製造ライン:アイスクリーム・冷凍食品などの製造工程。
- 超低温ガス搬送:医薬品やバイオ研究で使用される液体窒素の搬送。
このような環境では、以下の材質が使用されます。
材質 | 耐寒温度 | 用途 |
SUS304(ステンレス鋼) | 約-196℃ | 一般的な冷却水ライン |
SUS316L(ステンレス鋼) | 約-196℃ | 超低温ガス搬送、耐食性が求められる環境 |
PFA(フッ素樹脂) | 約-200℃ | 医薬品・化学業界の低温用途 |
特に、超低温環境では金属が収縮するため、配管の接続部の密閉性が重要 になります。そのため、フッ素樹脂製の配管や、低温環境でも耐久性の高いSUS316Lが用いられます。
- 高圧環境への対応
サニタリー配管は、流体の搬送時に高い圧力がかかるケース にも対応しなければなりません。特に、以下のような場面では高圧に耐えられる配管が必要になります。
高圧環境で使用される主なケース:
- 炭酸飲料の製造:炭酸ガスを含む液体を搬送するため、高圧対応が必要。
- 高圧蒸気殺菌:製薬・食品工場では、高圧蒸気を使用して器具や配管を殺菌。
- 高粘度流体の搬送:チョコレートやシロップなど、高粘度の液体を高圧で送る。
高圧に耐えるために、以下のような工夫がされています。
- 配管の肉厚を増やす(スケジュール40, スケジュール80など)
- 耐圧性の高いフランジ接続や溶接接続を採用
- 適切なバルブやシール材を使用し、気密性を確保
材質 | 耐圧性能 | 用途 |
SUS304 | 約10MPa | 般的な食品・飲料ライン |
SUS316L | 約15MPa | 高圧流体、炭酸飲料ライン、製薬用途 |
PTFEライニング配管 | 約8MPa | 高圧化学薬品ライン |
特に、炭酸飲料の製造ラインでは、圧力の変動による配管の膨張・収縮を考慮した設計が必要 となるため、強度の高いSUS316Lが選ばれることが多いです。
- 減圧・真空環境への対応
一方で、サニタリー配管には、減圧環境や真空状態に対応するケース もあります。例えば、製薬業界では減圧下でのろ過工程や真空乾燥工程 が行われることがあります。
真空・減圧環境で使用される主なケース:
- 真空乾燥工程:製薬・食品業界で、製品の水分を低圧環境で除去。
- 減圧ろ過:医薬品や化学品の精製過程で、不純物を取り除く。
- 真空搬送:粉体や微粒子を配管内で搬送する際に使用。
真空環境では、配管の形状が変形しないように適切な厚みを持たせることが重要 です。また、真空環境ではシール性が重要なため、ガスケットやバルブにも特別な仕様 が求められます。
サニタリー配管の対象と用途

サニタリー配管は、食品・医薬品・化粧品・精密化学業界など、高い衛生基準が求められる業界 で使用される配管設備です。これらの業界では、製造工程における異物混入や微生物の繁殖を防ぎ、製品の品質と安全性を確保することが重要です。特に、サニタリー配管は、洗浄性・耐食性・耐圧性に優れた材質と構造 を持つため、これらの要求に適した設備として広く採用されています。
ここでは、サニタリー配管が使用される代表的な業界とその具体的な用途について詳しく解説します。
食品業界
食品業界では、飲料・乳製品・調味料・アルコールなど、消費者が直接口にする製品を扱うため、厳格な衛生管理が必要 です。食品の製造工程では、原料の搬送から殺菌、発酵、充填まで多くの工程で配管が使用されており、衛生基準を満たすためにはサニタリー配管の適切な選定と維持管理 が欠かせません。
- 主な用途
- 飲料製造(清涼飲料水、炭酸飲料、ジュース)
飲料の製造ラインでは、水や果汁、糖液などの液体を大量に搬送するため、配管の内面が滑らかで清掃しやすい構造 であることが重要です。また、炭酸飲料の製造では、二酸化炭素(CO₂)を高圧で供給する配管が必要になるため、高圧対応のサニタリー配管 が求められます。 - 乳製品製造(牛乳、ヨーグルト、チーズ)
乳製品の製造では、牛乳やクリームを適切な温度で搬送しながら、低温殺菌(パスチャライゼーション)やホモジナイズ(均質化) などの工程を経るため、熱水や蒸気洗浄が可能な耐熱性の高いサニタリー配管 が使用されます。特に乳製品は細菌の繁殖リスクが高いため、CIP(定置洗浄)やSIP(定置殺菌)の導入が不可欠です。 - 調味料製造(醤油、味噌、ドレッシング)
発酵を伴う製品の製造では、発酵過程で発生するガスの排出や温度管理が必要 です。また、醤油や味噌のように塩分濃度の高い製品を扱う場合は、耐食性の高いSUS316Lのサニタリー配管 が適しています。 - アルコール・発酵飲料(ビール、日本酒、ワイン)
発酵過程では、微生物の活動を最適化するために温度や圧力が厳密に管理される 必要があります。また、ビールやワインの製造では、炭酸ガスを含む液体を高圧で搬送するため、耐圧性の高い配管 が求められます。
医薬品業界
医薬品業界では、無菌環境の維持が非常に重要 であり、配管内部に微粒子や細菌が混入しないことが必須条件 となります。医薬品の製造では、クリーンルーム内での生産が行われるため、サニタリー配管もGMP(Good Manufacturing Practice)やFDA(米国食品医薬品局)の基準に準拠 したものが使用されます。
- 主な用途
- ワクチン・注射薬の製造
医薬品の中でもワクチンや注射薬は極めて高い無菌性 が求められます。これらの製造ラインでは、高純度の無菌水(WFI:Water for Injection)や医薬品原料を配管を通じて輸送 するため、CIPやSIPを徹底し、配管内部の微生物や異物の付着を防ぐ必要があります。 - 点滴・輸液製造
点滴液や輸液は、人体に直接投与されるため、極めて厳しい品質管理のもとで製造されます。そのため、サニタリー配管には耐食性・耐熱性に優れたステンレス製(SUS316L)のものが使用され、定期的に滅菌処理が行われます。 - 化学合成薬・バイオ医薬品製造
バイオ医薬品の製造では、細胞培養や発酵を行うため、高温・高圧環境に対応できる配管が必要 です。また、培養液や薬剤の搬送には、微粒子が発生しにくい研磨処理された配管 が求められます。
化粧品業界
化粧品は、直接肌に塗布される製品であり、安全性が重要視されるため、サニタリー配管が多く使用されます。
- 主な用途
- スキンケア製品製造(乳液、化粧水、クリーム)
乳液やクリームなどの製造では、粘度が高く、成分が沈殿しやすいため、均一に攪拌しながら搬送できる配管 が必要になります。また、防腐剤を含まない製品では、配管内部の滅菌が重要となり、CIP/SIPによる洗浄が徹底されます。 - シャンプー・ボディソープ製造
シャンプーやボディソープは、泡立ちや香料の分散性を考慮しながら搬送する 必要があります。これに対応するため、界面活性剤に適した材質のサニタリー配管 が使用されます。
精密化学業界
精密化学業界では、半導体製造用の高純度薬品や試薬の搬送において、極めて厳格な衛生管理が求められます。
- 主な用途
- 電子材料用薬品の製造
半導体の製造では、微細な異物の混入が製品の品質に大きく影響を与えるため、高純度化学薬品を搬送するための配管には、フッ素樹脂コーティングが施されたものが使用 されます。
サニタリー配管の規格

サニタリー配管は、食品・医薬品・化学業界において、安全で清潔な流体搬送を確保するために、国際基準や各国の規制に準拠した設計と管理 が求められます。これらの規格は、材質、内面仕上げ、接続方式、洗浄性、耐久性 などの観点から定められており、適切な配管設備を選定する際の指標となります。
食品や医薬品の製造ラインにおいては、異物混入や微生物の繁殖を防ぎ、製品の品質を維持することが最優先事項 です。そのため、各業界では衛生基準に適合したサニタリー配管の導入 が不可欠となります。
ここでは、サニタリー配管に関する代表的な4つの規格について詳しく解説します。
材質 | 概要 | 主な対象業界 | 特徴 |
3-A Sanitary Standards (3-A) | 米国の食品・乳製品・医薬品向けの衛生規格 | 食品・乳製品・飲料・医薬品 | CIP/SIP対応、デッドスペース排除、表面粗さ規定(Ra値0.8μm以下) |
ISO (国際標準化機構) | 国際的な衛生基準を定める規格 | 食品・飲料・医薬品・化粧品 | ISO 14159(食品機械の衛生基準)、ISO 2852(クランプ接続の規格) |
JIS (日本産業規格) | 日本国内の食品・医薬品向けの配管規格 | 食品・飲料・医薬品・半導体 | JIS B 4632(継手の規格)、JIS G 3447(ステンレス鋼製サニタリー管) |
FDA (米国食品医薬品局) | 米国の医薬品・食品・化粧品向けの衛生基準 | 医薬品・バイオ製品・化粧品 | CIP/SIP対応、無毒性素材(PTFE、SUS316L)の使用 |
3-A Sanitary Standards(3-A)
3-A Sanitary Standards(3-A規格) は、米国の食品・乳製品・製薬業界向けのサニタリー規格 であり、食品の安全性確保と衛生的な製造環境の維持を目的として制定された規格です。食品・飲料・乳製品・医薬品業界では、異物混入や細菌の繁殖を防ぐため、製造設備や配管には厳しい衛生基準が求められます。3-A規格は、そうした衛生要件を満たすために、配管の材質、設計、洗浄性、耐久性などについて詳細な基準を設定 しており、製造工程のクリーン化を実現するための指標となっています。
3-A規格は、米国食品医薬品局(FDA)、米国農務省(USDA)、食品業界の専門家 によって策定され、食品および医薬品の品質を守るための洗浄しやすい構造や、デッドスペースの排除といった詳細な要件が定められています。また、サニタリー配管の使用環境に適した耐食性の高い材質(SUS304、SUS316L)や、鏡面仕上げ(Ra値0.8μm以下) の使用が推奨されており、CIP(定置洗浄)やSIP(定置殺菌)を適用することで、清潔な状態を維持することが可能です。
食品・医薬品の製造において、3-A規格に適合したサニタリー配管を使用することは、消費者に安全で高品質な製品を提供するために不可欠な要件 となっています。
材質 | 規定内容 |
適用対象 | 乳製品、食品、飲料、医薬品 |
表面仕上げ | Ra値 0.8μm以下(鏡面仕上げ推奨) |
清掃性 | CIP(定置洗浄)、SIP(定置殺菌)対応 |
FDA(米国食品医薬品局)材質 | SUS304、SUS316Lを推奨 |
継手・バルブ設計 | デッドスペースを最小限にする構造 |
その他の特徴 | 耐食性が求められ、食品との接触部分の洗浄性が重視される |
- 3-A規格の特徴
- 食品・医薬品の品質維持に貢献
- 配管の内面が滑らかで、洗浄しやすい構造
- デッドスペースを極力排除し、異物混入を防ぐ設計
3-A規格に適合することで、食品・医薬品の安全性を確保し、国際市場でも高い評価を受ける ことができます。
ISO(国際標準化機構)
ISO(International Organization for Standardization) は、世界各国が統一した品質管理基準を策定し、さまざまな業界の製造プロセスや製品品質の標準化を推進する国際機関です。サニタリー配管に関しても、衛生管理、品質管理、安全性の観点から詳細な基準が設定 されており、食品・飲料・医薬品・化粧品業界など、広範囲な分野で適用されています。
ISO規格の目的は、国や地域による規格の違いをなくし、世界市場で統一された品質基準を確立すること です。これにより、各国の企業が同じ基準のもとで製造・流通を行うことができ、品質のばらつきを減らし、消費者に安全な製品を提供できるようになります。特に、ISO 14159(食品機械の衛生基準)やISO 2852(サニタリー配管のクランプ接続)などの規格は、食品および医薬品の製造設備において重要な役割を果たしています。
ISO規格に準拠したサニタリー配管は、清掃のしやすさ、異物混入の防止、耐薬品性の高さなどの要件を満たすように設計 されており、国際市場での製品の安全性や品質の保証に貢献しています。そのため、ISO基準に適合することで、グローバルな製造業での信頼性が向上し、多国籍企業の品質管理基準を満たすことが可能となります。
材質 | 規定内容 |
適用対象 | 食品・飲料・医薬品・化粧品 |
代表的な規格 | ISO 14159(食品機械の衛生基準)、ISO 2852(サニタリー配管のクランプ接続) |
継手・接続方式 | クランプ式接続の標準寸法や密閉性に関する規格 |
衛生管理基準 | 清掃性・耐食性・異物混入防止が規定される |
- ISO規格の特徴
- 国際市場での適用性が高く、輸出製品の製造ラインに適している
- 世界各国の食品・医薬品製造現場で採用
- 厳格な衛生管理基準を満たし、食品・医薬品の安全性を確保
ISO規格に適合したサニタリー配管は、国際市場での品質保証と適合性を向上させるため、グローバルな製造業で広く使用 されています。
JIS(日本産業規格)
JIS(Japanese Industrial Standards) は、日本国内で広く使用される産業規格であり、サニタリー配管に関しても食品衛生法や医薬品製造基準に基づいた設計基準 が詳細に定められています。食品や医薬品の製造では、製品の安全性を確保するため、配管や製造機器の材質、接続方式、洗浄性などに厳しい基準が求められます。JIS規格は、こうした国内の法規制と密接に関係し、食品・飲料・医薬品・半導体など、精密な品質管理が求められる業界で使用される設備の基準を統一 しています。
JIS規格では、ステンレス鋼(SUS304、SUS316L)を使用したサニタリー配管の標準仕様が定められており、食品・医薬品の品質維持のために重要な役割を果たします。特に、JIS B 4632(サニタリー配管用継手)やJIS G 3447(ステンレス鋼製サニタリー管)は、日本国内の食品工場や医薬品製造施設で広く採用されており、厳しい品質管理基準を満たしています。
JIS規格に準拠したサニタリー配管を使用することで、国内の食品・医薬品業界における法規制をクリアし、安全で信頼性の高い製造環境を実現 できます。
材質 | 規定内容 |
適用対象 | 食品・飲料・医薬品・半導体 |
代表的な規格 | JIS B 4632(サニタリー配管用継手)、JIS G 3447(ステンレス鋼製サニタリー管) |
材質 | SUS304、SUS316Lを指定 |
衛生管理基準 | 日本の食品衛生法や薬機法に準拠 |
- JIS規格の特徴
- 日本国内の食品・医薬品業界で標準的に採用
- 国内の法規制に適合し、安全な製造環境を確保
- 耐久性・耐食性に優れた設計基準を採用
JIS規格に適合したサニタリー配管は、日本国内の食品・医薬品製造工場で信頼される設備として広く利用 されています。
FDA(米国食品医薬品局)
FDA(Food and Drug Administration) は、米国の医薬品・食品・化粧品・医療機器 の安全性を監督・規制する政府機関であり、製造設備に対しても厳格な基準を設けています。食品や医薬品は、直接人体に影響を及ぼすため、その製造工程における設備や配管の衛生管理が極めて重要視されています。FDAは、こうした製造プロセスを監視し、消費者が安全な製品を確実に手にすることができるよう、サニタリー配管を含む設備に対する要件を詳細に規定 しています。
FDAの規制では、サニタリー配管に使用される材料は無毒性であること、耐薬品性・耐食性に優れていることが求められます。そのため、SUS316L(高耐食ステンレス鋼)やPTFE(フッ素樹脂)などが推奨され、CIP(定置洗浄)やSIP(定置殺菌)が確実に行えるように設計されています。また、配管の継手やガスケットには、FDAの認可を受けたPTFE、シリコン、EPDMなどの素材が使用されることが義務付けられています。
FDA規格に適合したサニタリー配管は、特に医薬品・食品・化粧品業界での品質保証や国際基準への適合を実現するために重要 であり、これに準拠することで、製品の安全性が確保され、米国市場での流通がスムーズになります。
材質 | 規定内容 |
適用対象 | 医薬品、食品、化粧品、医療機器製造 |
材質規定 | SUS316L、PTFE(フッ素樹脂)、EPDM、シリコンなどの無毒性・耐食性素材を使用 |
洗浄基準 | CIP(定置洗浄)・SIP(定置殺菌)に適合し、配管内部の洗浄が徹底できる設計 |
表面仕上げ | 滑らかな内面仕上げ(Ra値0.8μm以下が推奨) |
ガスケット・シール材の基準 | FDA認可素材(PTFE、シリコン、EPDMなど)の使用が義務付けられる |
異物混入防止 | 継手やバルブはデッドスペースを最小限にし、異物の蓄積を防ぐ設計 |
- FDA規格の特徴
- GMP(医薬品)、HACCP(食品)と連携し、国際的な安全基準を満たす
- 医薬品・食品製造において、異物混入の防止と衛生管理を強化
- 高い耐薬品性・耐食性を確保し、安全な流体搬送を実現
FDA規格に適合したサニタリー配管を導入することで、国際市場での品質保証が可能となり、安全性の高い製造環境を構築できます。
サニタリー配管の種類と材質

サニタリー配管は、食品・医薬品・化粧品・化学業界など、高い衛生基準が求められる製造分野 で使用されるため、用途や環境に応じた適切な種類と材質の選定 が必要です。配管の種類や材質が適切でないと、洗浄が不十分になり、異物や細菌の繁殖リスクが増大 する可能性があります。そのため、業界の衛生基準や流体の特性に合った配管選定が不可欠 です。
ここでは、サニタリー配管の主な種類と特徴、ならびに使用される材質の特性について詳しく解説します。
サニタリー配管の種類
サニタリー配管には、接続方法や用途に応じていくつかの種類があります。それぞれの配管方式にはメリット・デメリットがあり、使用する環境に応じて適切に選択することが重要 です。
材質 | 主な特徴 | メリット | デメリット | 主な用途 |
クランプ式 | クランプ接続で簡単に分解・組み立て可能 | メンテナンスが容易、CIP/SIP対応、洗浄しやすい | ガスケットの劣化による交換が必要 | 食品・飲料・医薬品製造ライン |
フランジ式 | ボルト固定で高圧・大口径配管に対応6L、PTFE(フッ素樹脂)、EPDM、シリコンなどの無毒性・耐食性素材を使用 | 強固な接続、耐圧・耐久性が高い | 分解・清掃が難しく、メンテナンスに時間がかかる | 高圧液体・蒸気配管、大規模食品・化学設備 |
ネジ込み式 | ねじ込み接続で簡単に設置・取り外し可能 | 設備の変更が容易、追加・調整がしやすい | ねじ山部分に汚れが溜まりやすく、衛生管理が必要 | 小規模食品・飲料設備、一時的な流体搬送 |
溶接式 | 接合部を完全密閉し、異物混入リスクを最小化 | 耐久性が高く、長期間の使用に適している | 設置後の変更が難しく、初期設計が重要 | 医薬品・バイオ製造、無菌環境(クリーンルーム) |
①クランプ式
クランプ式は、食品・医薬品業界で最も一般的に使用される接続方式 であり、配管の分解・組み立てが容易で、洗浄やメンテナンスを迅速に行える という特長があります。
この方式では、配管の接続部にクランプ(締め具)とガスケット(シール材) を使用し、ボルトや工具を使わずに手軽に接続・取り外しが可能 です。そのため、配管内部の清掃や定期的なメンテナンスが必要な製造ラインに適しています。
- 特長
- 短時間で配管を分解・組み立てできるため、清掃作業が効率的
- デッドスペースが少なく、異物や微生物の蓄積リスクを低減
- ガスケットを交換することで密閉性を維持しやすい
- CIP(定置洗浄)やSIP(定置殺菌)に適しており、高い衛生管理が求められる環境に最適
- 主な用途
- 食品・飲料製造ライン(ジュース、牛乳、炭酸飲料など)
- 乳製品・アルコール製造(チーズ、ヨーグルト、日本酒、ワインなど)
- 医薬品・化粧品の配管システム(ローション、シャンプー、クリーム製造)
②フランジ式
フランジ式は、高圧環境や大口径の配管に適した接続方式 であり、主に大規模な工場設備や強い圧力がかかる流体搬送 に使用されます。
フランジ接続は、ボルトとナットでしっかりと固定されるため、密閉性が高く、長期間にわたって安全に運用できる のが特長です。その一方で、一度設置すると分解や清掃が手間になるため、頻繁なメンテナンスが必要なラインには不向き です。
- 特長
- 強固な接続が可能で、耐圧性・耐久性に優れる
- 長期間の使用にも適しており、定期メンテナンスが容易
- 食品・化学・発酵製品など、高圧・高温環境に対応
- ただし、取り外しに工具が必要で、分解や清掃が難しい
- 主な用途
- 高圧液体やガスの輸送ライン
- 食品・化学製品の大型製造設備
- 蒸気・熱処理を含む製造プロセス
③ネジ込み式
ネジ込み式は、小規模な製造設備や一時的な流体搬送ライン に適しており、特に頻繁な取り外しや変更が求められる場面で使用 されます。
この方式は、配管の端部にねじ山があり、ねじ込むことで接続できる ため、工具を使って比較的簡単に設置・取り外しが可能 です。ただし、ねじ山部分に汚れが溜まりやすく、清掃を徹底しなければ異物混入のリスクがあるため、食品・医薬品業界では限定的に使用 されます。
- 特長
- 工具を使用すれば簡単に接続・取り外しが可能
- 設備の変更や配管の追加が容易
- 流体搬送量の調整がしやすい
- ねじ山部分の汚れが溜まりやすく、定期的な洗浄が必要
- 主な用途
- 小規模な食品・飲料製造設備
- 一時的な流体搬送ライン
- 実験室や研究施設の配管システム
④溶接式
溶接式は、接続部を完全に密閉し、一体化することで異物混入のリスクを最小限に抑える設計 となっています。特に、無菌環境が求められる医薬品・バイオ製品の製造ライン で広く採用されています。
この方式は、一度配管を設置すると変更が難しいため、事前の設計段階で正確な流路設計が必要 です。その反面、接続部の継ぎ目がないため、洗浄性が高く、異物の滞留が起こりにくい のが大きなメリットです。
- 特長
- 接合部が完全に密閉され、異物混入のリスクを極限まで低減
- クリーンルーム環境など、高い衛生基準を求められる場所で使用
- 耐久性が高く、長期間の使用が可能
- ただし、設置後の変更が難しく、初期設計が重要
- 主な用途
- 医薬品・ワクチン製造ライン
- 半導体・電子部品製造プロセス
- 無菌環境(クリーンルーム)での流体搬送
サニタリー配管の材質
サニタリー配管には、耐食性・耐熱性・洗浄性に優れた材質 が求められます。特に、食品や医薬品の製造では、衛生管理のために適切な材質の選定 が不可欠です。以下に、代表的な材質とその特性を紹介します。
材質 | 主な特徴 | メリット | デメリット | 主な用途 |
SUS304(ステンレス鋼) | 一般的な耐食性と強度を持つ | コストが低く、食品・飲料向けに広く使用 | 塩分・酸に弱く、腐食の可能性がある | 食品・飲料製造ライン、一般的な配管 |
SUS316L(ステンレス鋼) | SUS304より耐食性が高く、塩分や酸に強い | 耐薬品性・耐熱性が高く、長期間の使用に適している | コストが高い | 医薬品・乳製品・化粧品製造、クリーンルーム環境 |
PTFE(フッ素樹脂) | 耐薬品性・耐熱性が非常に高い | 強酸・強アルカリ環境でも使用可能、滑らかな表面で異物が付着しにくい | 高温での機械的強度が低い、価格が高い | 化学薬品・医薬品製造、高純度液体搬送 |
PFA(フッ素樹脂) | PTFEと同等の耐薬品性を持ち、透明性が高い | 高純度の流体に適しており、半導体製造などで使用される | 加工性が難しく、コストが高い | 半導体・電子部品製造ライン、超純水搬送 |
PVC(塩化ビニル) | 低コストで軽量、加工が容易 | 耐薬品性があり、一部の食品・化粧品製造にも使用可能 | 耐熱性が低く、熱湯・蒸気洗浄には不向き | 低温流体の搬送、化粧品・医薬品の一部用途 |
①ステンレス鋼(SUS304, SUS316L)
ステンレス鋼(SUS304, SUS316L) は、サニタリー配管で最も広く使用されている材質です。耐食性・強度・洗浄性 に優れ、長期間の使用が可能です。
- 特長
- SUS304は一般的な耐食性と強度を持ち、食品・飲料製造に適している
- SUS316Lは塩分・酸に強く、医薬品・乳製品・化粧品製造に推奨される
- CIP/SIP洗浄に適合し、細菌や異物の付着を防ぐ
- 主な用途
- 食品・飲料製造ライン
- 医薬品・化粧品の配管システム
- 高温・高圧環境での流体輸送
②フッ素樹脂(PTFE, PFA)
フッ素樹脂(PTFE, PFA) は、耐薬品性と耐熱性に優れた材質 であり、化学薬品や医薬品の搬送に適しています。
- 特長
- 耐薬品性が非常に高く、強酸・強アルカリ環境でも使用可能
- 滑らかな表面で異物の付着を防ぎ、高純度流体の搬送に適している
- 流体搬送量の調整がし-200℃から260℃の広い温度範囲で使用可能
- 主な用途
- 化学薬品・医薬品の製造ライン
- 半導体・電子部品製造設備
- 超純水・腐食性のある流体の搬送
③塩化ビニル(PVC)
PVC(塩化ビニル) は、コストが低く、軽量で加工が容易な材質です。食品業界では一部の用途に使用されますが、耐熱性が低いため、熱湯や蒸気洗浄が必要な環境には適していません。
- 特長
- 低コストで導入しやすい
- 軽量で施工が容易
- 耐薬品性があるが、高温環境には不向き
- 主な用途
- 低温流体の搬送(飲料・化粧品)
- 一時的な流体搬送ライン
サニタリー配管の設計と施工における注意点

サニタリー配管は、食品・医薬品・化粧品・化学業界 などの衛生管理が厳しい環境で使用されるため、設計・施工時に清潔性・耐久性・安全性を確保すること が重要です。適切な設計・施工がなされていないと、異物混入や微生物の繁殖、配管の破損 などの問題が発生し、製品の品質や生産性に大きな影響を与える可能性があります。
ここでは、サニタリー配管の設計・施工時に考慮すべき重要なポイントについて詳しく解説します。
設計における注意点
サニタリー配管の設計段階では、流体の流れ、清掃のしやすさ、耐久性、設備の保守管理 などを考慮する必要があります。以下の点に注意して設計を行うことが重要です。
- 配管の傾斜設計
- 配管の内部に水や流体が滞留しないよう、適切な傾斜を確保する ことが重要です。
- CIP(定置洗浄)やSIP(定置殺菌)を考慮し、一般的には1~2%の勾配を設けることが推奨 されます。
- 傾斜が不十分な場合、洗浄液や水が残り、異物の蓄積や細菌の繁殖を引き起こすリスク があります。
- デッドスペースの排除
- デッドスペース(流体が滞留しやすい場所)が多いと、異物の蓄積や細菌の繁殖を引き起こしやすくなります。
- 配管の接続部、継手、バルブの設計を最適化し、流体のスムーズな流れを確保することが重要 です。
- 特に食品・医薬品業界では、デッドスペースを極力減らした設計が必須 となります。
- 流体の流れを考慮した設計
- 急な曲がりや直角の配管は、流体の乱れを生じさせ、洗浄のしにくさや圧力損失の原因 になります。
- 緩やかなカーブを設け、流体の流れをスムーズにすることで、汚れの付着を防ぎ、洗浄性を向上 させることができます。
- 配管の長さと接続方法の最適化
- 過剰に長い配管や不要な接続部を減らすことで、異物の付着リスクを低減 できます。
- 接続部はクランプ式・溶接式など用途に適した方法を選定し、メンテナンスのしやすさと密閉性を両立 させることが重要です。
- ⑤ 洗浄・メンテナンスのしやすさ
- CIP(定置洗浄)やSIP(定置殺菌)に対応できる設計を行い、清掃の負担を軽減 することが重要です。
- 取り外し可能な継手やバルブを適切に配置し、清掃や点検作業を迅速に行える構造にすること が求められます。
施工における注意点
サニタリー配管の施工では、設計の意図を正しく反映し、高い衛生基準を満たすための適切な施工手法 を採用する必要があります。不適切な施工が行われると、配管内部の異物残留、洗浄不良、液漏れ、耐久性の低下 などの問題が発生し、最終製品の品質に影響を与える可能性があります。
- 材質と接続方式の適切な選定
流体の特性や使用環境に応じた材質・接続方式を適切に選定することで、長期間にわたって安定した運用が可能となります。
- 材質の選定
業界・用途 | 推奨材質 | 特徴 |
食品・飲料業界 | SUS304(ステンレス鋼) | 般的な耐食性と強度を持ち、コストパフォーマンスが高い |
医薬品・化粧品業界 | SUS316L(ステンレス鋼) | SUS304より耐食性が高く、塩分や酸に強いため、衛生管理が厳しい環境に適している |
高純度化学薬品・半導体製造 | PTFE(フッ素樹脂)・PFA(フッ素樹脂) | 耐薬品性・耐熱性に優れ、化学的に安定した環境で使用可能 |
- 接続方式の選定
用途・条件 | 推奨接続方式 | 特徴とメリット | 注意点 |
頻繁なメンテナンスが必要なライン | クランプ式 | 工具なしで分解・組み立てが可能、洗浄が容易 | 定期的にガスケットの交換が必要 |
高圧環境・厳しい衛生管理 | フランジ式 | ボルト固定により高い密閉性と耐圧性を確保 | 清掃時に分解が難しく、時間がかかる |
無菌環境・長期間使用する配管 | 溶接式 | 接合部の完全密閉により、異物混入を防ぐ | 設置後の変更が困難で、初期設計が重要 |
小規模設備や一時的な配管 | ネジ込み式 | 取り外しが容易で、設備の変更がしやすい | ねじ山部分に汚れが溜まりやすく、洗浄が必要 |
- 配管の清浄度を確保する施工
サニタリー配管は、異物混入や微生物の繁殖を防ぐため、施工段階での清浄度の確保が極めて重要 です。
- 施工中は、配管内部を常に清潔に保ち、異物や油分の付着を防ぐ。
- 配管の接続前には、アルコールや純水を使用して内部を洗浄し、異物の付着を除去 する。
- 配管の開口部を長時間放置しないようにし、施工中に異物が混入しないよう注意 する。
施工後に異物が配管内部に残っていると、CIP/SIP洗浄でも完全に除去できないことがあるため、施工段階での管理が重要 です。
- 高品質な溶接・表面処理の実施
サニタリー配管では、溶接部分が異物の付着や微生物の繁殖の温床になる可能性があるため、高品質な溶接と表面処理 が求められます。
- 溶接のポイント
- TIG溶接(アルゴン溶接)を使用し、スムーズな接合面を確保 する。
- 溶接ビード(接合部)の凹凸を最小限に抑え、異物が付着しないようにする。
- 溶接後の酸洗い処理を実施し、酸化被膜を除去して耐食性を向上 させる。
- 表面処理のポイント
- 電解研磨(EP仕上げ)を施し、表面粗さをRa 0.8μm以下にすることで、洗浄性を向上 させる。
- 研磨仕上げのレベルを確認し、特に医薬品・バイオ業界では高精度な表面処理を実施 する。
- ステンレス鋼の表面をパッシベーション処理することで、耐食性を向上させる。
適切な溶接・表面処理を行うことで、長期間にわたって清潔な配管環境を維持し、品質の安定化を図ることができます。
- 配管の圧力試験とリークテストの実施
施工後のサニタリー配管は、適切に密閉され、液漏れがないことを確認するため、圧力試験とリークテストを必ず実施 します。
- エアーテスト(配管内に圧縮空気を封入し、圧力の低下を測定)
- 接続部はクランプ式・溶接式など用途に適した水圧テスト(配管内に水を満たし、加圧して漏れがないかを確認)
- ヘリウムリークテスト(高精度なリーク検出が必要な場合に実施)
施工後に適切な試験を実施することで、液漏れや配管の破損リスクを最小限に抑えることができます。
- 配管の固定・支持の適切な設計
サニタリー配管は、振動や熱膨張によって変形する可能性があるため、適切な固定・支持の設計が重要 です。
- 長い配管には適切な間隔でサポートを設置し、たるみや振動を防ぐ。
- 熱膨張を考慮し、配管の膨張・収縮に対応できる設計を行う。
- 振動が発生しやすい部分(ポンプやバルブ周辺)には、適切な防振サポートを設置 する。
適切な支持・固定を行うことで、長期間にわたって安定した運用が可能となり、配管の破損リスクを低減 できます。
当社のサニタリー配管の製作事例

当社では、多種多様な工場配管プロジェクトで培った豊富なノウハウと、高い専門知識を基に、幅広い配管設計や施工に対応しております。特に、食品工場や医薬品製造工場、化学工場など、高品質・高精度が求められる分野では、経験豊富な技術者がその技術力を駆使し、お客様のご要望にお応えしてまいりました。以下に、当社がこれまで手掛けてきた代表的なサニタリー配管の事例をご紹介いたします。
- 発電プラント内 大径管(SUS200A SCH120)溶接

発電プラント内で利用する材質:SUS200A、厚さ:SCH120の大径管の溶接作業です。
高い技術を求められるステンレスかつ厚みを持つ材質なため、歪みを抑えるための予熱や後熱の考慮や
溶接材の選定など、弊社の強みである豊富なノウハウを活かした製品です。
材質 | SUS200A |
厚さ | SCH120 |
開発期間・納期目安 | - |
交差レベル | - |
製品用途 | 発電プラント |
この他にも、多数プラント・工場配管に関する溶接の事例は多数保有しており、今後、あらためて追加予定ですので、しばらくおまちください。
- 海外向けゲージキャビネット

海外工場・プラント向けゲージキャビネットです。
計装用キャビネットとなり、海外規格への対応と緻密な配管を求められました。
弊社ではプラント配管における製造から据え付け工事まで一貫して行っており、高品質かつお客様が求めるニーズの痒いところまで手が届くサービスを提供しております。ぜひ、当社にご相談ください。
材質 | |
厚さ | |
開発期間・納期目安 | - |
交差レベル | - |
製品用途 | 工場・プラント向けの計測 |
- 海外向けゲージキャビネット

海外工場・プラント向けゲージキャビネットです。
計装用キャビネットとなり、海外規格への対応と緻密な配管を求められました。
弊社ではプラント配管における製造から据え付け工事まで一貫して行っており、高品質かつお客様が求めるニーズの痒いところまで手が届くサービスを提供しております。ぜひ、当社にご相談ください。
材質 | |
厚さ | |
開発期間・納期目安 | - |
交差レベル | - |
製品用途 | 工場・プラント向けの計測 |
- 発電プラント内 検出配管

本製品は発電プラントにおける検出配管です。
今回の製品はご要望に合わせた部材の製造から、現地の据え付け工事まで一貫にて対応しました。
配管を考慮した設計から弊社が提案させて頂いており、
弊社の強みであるプラント配管の多数実績と高いノウハウを活かした製品です。
材質 | - |
厚さ | - |
開発期間・納期目安 | - |
交差レベル | - |
製品用途 | 発電プラントにおける検出部にて利用 |
「サニタリー配管」まとめ

サニタリー配管は、食品・医薬品・化粧品・化学業界などの衛生管理が求められる製造現場で使用される重要な設備であり、高い洗浄性・耐食性・耐熱性を備えた設計が求められます。適切な材質や接続方式を選定し、設計・施工の各段階でCIP(定置洗浄)やSIP(定置殺菌)に対応した構造を採用することで、安全かつ効率的な流体搬送を実現することが可能です。特に、デッドスペースを最小限に抑えた設計や、電解研磨による表面処理、適切なリークテストの実施などにより、異物混入や微生物の繁殖を防ぎ、長期間にわたり安定した運用が可能となります。
当社では、多種多様な工場配管プロジェクトで培った高い技術力と豊富な経験を基に、食品工場向けのCIP対応ステンレス配管、医薬品製造向けの無菌環境対応配管、化学工場向けの耐薬品性配管など、さまざまな用途に応じたサニタリー配管の設計・製作・施工に対応しております。製造ラインの最適化を図るためには、用途に適した材質や接続方式の選定、流体の流れを考慮した適切な配管レイアウトの設計、高品質な溶接・表面処理の実施が欠かせません。また、近年の衛生管理基準の厳格化や自動洗浄システムの普及により、より高度なサニタリー配管のニーズが高まっています。お客様のニーズに応じた柔軟な設計提案と、厳密な品質管理を通じて、最適な配管設計と施工を提供いたします。サニタリー配管についてのご相談がございましたら、ぜひ当社にお問い合わせください。

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